前々日は台風上陸とのことで公にひきこもることができ、その翌日は台風一過で過ごしやすかろうと映画を見に行く予定を立て勝手にわくわくしていたが、朝目を覚ますと未だ曇り空で一気にテンションが下がりそのまま引きこもる。

そして今日を迎えたわけだが、先月先々月と引きこもりが常習化し、しまいには自律神経や精神衛生に影響が出て非常に具合が良くなかったのを反省、今日の今日こそは表に出て何か立派な活動をするぞと目を爛々と輝かせ朝からプロテインを飲んだ。朝夜はプロテインで済ませ、昼のみ自由に食べるという独自の食事制限のつもりである。


先々月のフィットネス大会以降現実から目を逸らしていたがたぶん燃え尽き症候群的なやつになってたと思う。燃え尽きるも何も、入賞すらしていないので完全に自己満足による燃え尽き症候群なのだが。

減量後の食欲異常によるリバウンドまで視野に入れていたので、むしろ一度大きくなってから普通の生活を送りちょっとずつちょっとずついい塩梅にしていこうという計画だったのだ。


白状するが大会後ジムに行ったのは1,2回のみである。あんなに毎日のように続いていた運動も、ぱったりと興味がなくなってしまった。

いや興味がなくなったわけではなく、それこそ燃え尽き症候群としか言いようが無いのだが無気力でやる気がなく、これじゃだめだと計画を立てるも実行することはできず、またこれじゃだめだ〜の繰り返しだった。


夏らしいことも特にしないまま8月も中旬になつてしまった。ただ涼しい部屋でベッドに潜り何時間も眠り続け、たまに起きてごはんを食べたりゲームをしたり、そしてまた眠るという生産性のかけらも無いクソみたいな生活が2ヶ月くらい続いている。続いていた、と書きたいがたぶんまだこんな感じの生活は続くのだろう。


台風の日、台風翌日の日、何かと理由をつけてはカーテンを閉め引きこもってしまう。西加奈子の小説『きりこについて』で現実を見たくない主人公がこくこくと眠り続けるシーンを思い出す。

SNSを見るといろんな人がいろんなことを頑張ったり披露したりしている。その点わたしはというと12時間ほど寝て寝て寝続けているだけである。

夏になると体も心も具合が良くなくなる。学生の頃からずっとそうだった。

思うにわたしは周囲の人の調子が下がれば逆に調子が上がり、周囲の人の調子が上がれば調子が下がるというような性質がある。なので今みんな(みんなって何なんだろう)はすごく状態のいい状態なんだろうなあと勝手に解釈するしか心が救われない。


それにしても今日こそ何かやるぞと決めたが結局昼寝までして気づけば3時すぎである。ふと母の言葉を思い出す。近々帰省すると伝えると、横浜銘菓ありあけのハーバーをお土産に買ってきてほしいと頼まれたのだ。なぜ東京暮らしの娘に横浜銘菓をリクエストするのかわからないが、母のそういうところが好きなのだ。


都内でありあけのハーバーが買えるところを検索し、池袋へ向かった。


百貨店はお盆の影響かいつもより空いていた。

外気温でくらくらする頭に冷房の風がふわふわと心地良い。地下のお菓子売り場の片隅にありあけのハーバーはひっそりと並べられていた。そこには全国いろいろなお土産が売られていて、なんだかサービスエリアを思い出した。

子どもの頃から家族で旅行するときは車で移動していたため、サービスエリアが大好きだった。なんかセーブポイントみたいで。上京するときに乗った高速バスの休憩時間に寄ったサービスエリアも、仕事をしてから遠方にロケへ行き道中寄ったサービスエリアも、いつも独特の空気感があった。どこの土地とも違う匂いとか、場所と場所の間にあるからか妙なローカル感のごちゃまぜっぽさというか、とにかく落ち着くのだ。

わたしは将来長距離運転手になりたいという密かな夢があるのだが、サービスエリアに寄れるからというのも理由なのかもしれないなと考えながらお会計を済ませる。感じの良いにこにこな店員さんが対応してくれた。わたしもにこにこと対応ができた。店員さんへの対応の仕方で自分の精神状態がある程度判定できる。まだわたしは大丈夫そう。


だいじなだいじなありあけのハーバーを抱え、ミッションを遂行できた喜びを噛み締め帰宅した。やっぱり外は暑いのでなにか理由がない限り引きこもろうと誓ったのだった。


IMG_4516